製造業向けバーチャル・プロトタイピングの仏ESIグループはこのほど、センサーシミュレーション開発の専門企業である仏CIVITECの株式80%を取得したことを明らかにした。これによりESIは、先進運転支援システム(ADAS)の開発と統合のための技術を獲得したとしている。


ADASは、運転者の運転環境に対する知覚を補助することで、衝突を防止するアクティブ・セーフティーを大きく推進する。アクティブ・セーフティーは衝突予防の全段階においてユーロNCAP認証試験での重要性が増しており、今後もメーカーからの需要が伸びると予想されている。

■ADASを仮想環境で試験

アクティブ・セーフティーの認証を獲得するための対策は拡大しているが、仮想評価ツールがない場合、費用は年間1000万~3000万ユーロ(約13億5000万~約40億5000万円)に上る。これは、車両走行時に想定される環境条件が無限に存在することから、多様な範囲で試験を繰り返し行わなければならないためだ。

CIVITECの代表的なプラットフォーム「Pro-SiVIC」は、ADASを仮想的に評価するためのシミュレーションプラットフォームで、センサーの検出に従い3D環境をシミュレートすることにより、実機試作以前にさまざまな運転シナリオで性能評価を行うことが可能。同プラットフォームを導入することにより、ADASの開発コストを大幅に低減できるという。ESIは今後、CIVITECの開発プラットフォームを工業製品化し、世界的に供給する計画だ。

ESIによれば、ADAS市場は2015~19年に年間平均20%増の成長市場になると予想される。この傾向は今後も続き、25年までに自動車の完全自動運転(自動走行)化が実現するまで続くと考えられるとした。

2015/5/14

 

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