米運輸省の高速道路交通安全局(NHTSA)は3日、大型トラックやバスなどにも電子制御式横滑り防止装置(ESC)の搭載を義務化する新規制を導入すると発表した。2017年8月から段階的に義務化し、19年にはすべての商用車でESCの搭載が義務付けられる。


■毎年49人の死者が減少

NHTSAの試算によれば、商用車へのESC搭載の義務化により、年間で最大1759件の事故、49人の死亡者、649人の負傷者が減る見通し。これらの損害を防ぐことで、米国経済には3億米ドル以上の利益がもたらされるとした。ESCは衝突や道路外への飛び出しを伴わない転覆事故の40~56%を予防する効果があるとしている。

米国では乗用車や小型トラックについては07年から段階的にESCの搭載が義務付けられ、11年9月1日以降に販売されるすべての乗用車と小型トラックの新車で搭載されるようになった。完全に義務化される前の3年間だけでも、08年には634人、09年には705人、10年には863人の生命が救われたとしており、ESCの搭載車両が増えるほど効果も増大したという。

車種別の規制の開始時期は、ほとんどのトラックが2年後、車両総重量3万3000ポンド(14.97トン)以上のバスが3年後、同2万6000~3万3000ポンド(11.79~14.97トン)未満のバスが4年後からとなった。

■1台当たり269~585ドルのコスト増

NHTSAの試算によれば、今回の規制によってトラックでは1台当たり585米ドル、バスでは269米ドルのコスト増となる。年間でトラックが15万台、バスが2200台販売される場合、米国全体で4560万米ドルの負担増になるとした。

その一方で、新規制の導入による米国全体の利益額は3億1200万~5億2500万米ドルになるとしている。

NHTSAのローズカインド局長は「大型商用車にもESC搭載を義務化することで年間に約50人の生命が救われるだけでなく、事故による交通渋滞や資産の損失も減ることになるだろう」と述べた。

ESCは急なハンドル操作時や滑りやすい路面を走行中に車両の横滑りをセンサーが感知すると、自動的に車両の進行方向を保つように車両を制御する装置。各車輪に自動的にブレーキをかけて、車両の進行方向を修正する。

NHTSAは新規制の詳細を公式ウェブサイト( http://www.nhtsa.gov/staticfiles/rulemaking/pdf/FMVSS-136-Final-Rule-05182015%20final.pdf )に掲載している。

2015/6/4

 

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