スウェーデンの自動車ブランド、サーブの運営会社であるナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)は17日、中国の自動車大手である東風汽車集団(DFM)と提携することで合意したと発表した。ただし、東風による出資などは盛り込まれていない。


今回の提携では、生産と販売、型式認定の取得などについて協力することが柱となった。NEVSは2013年12月にスウェーデンで「9―3エアロ」の生産を開始したが、14年5月に資金不足を理由とした生産停止に追い込まれていた。今回の提携では資金面については言及されなかった。

■工場の建設や購買、販売などで協力

具体的には、NEVSが今年6月に起工した中国・天津市の新工場の建設を東風が支援するほか、サーブ車の中国での生産と販売の両面で東風がサポートするとした。東風の大規模なサプライヤー網や販売網を活用することが可能になるとしている。天津の新工場は年産能力10万台とされたが、生産開始の時期については明言していなかった。

一方、NEVSは東風の自主ブランド車が欧州や米国で型式認定を取得するための技術的な支援を行うほか、NEVSの販売を通じて東風ブランド車の販売も行うとした。

NEVSのマティアス・バーグマン社長は「東風は世界的な自動車メーカーであり、今回の提携を通じて当社は開発コストの低減やサプライヤーベースの拡張、競争力の強化といった効果が得られるだろう。当社は電気自動車(EV)にフォーカスすることによって、自動車産業のフロントランナーになることを目指したい」と話している。

■12年に買収したエンジニアリング会社が寄与か

両社は今年7月に提携協議を開始しており、早期に合意を実現したことになる。東風は、サーブ・オートモービル・パワートレインからスピンオフして設立されたエンジニアリング会社であるTエンジニアリングを12年に70%出資して買収。東風グループとして初の海外での研究開発(R&D)センターとしていた。Tエンジニアリングはサーブの本社工場があるトロルヘッタン市に所在していることも今回の提携協議がスムーズに進んだことに寄与したもようだ。

2015/8/18

 

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