米司法省は20日、旧フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の幹部3人を刑事で起訴したと発表した。司法省が2017年に民事で提訴していたディーゼルエンジン車の排ガス不正問題に関連した措置としている。

■2人はイタリア法人に勤務

3人のうちSergio Pasini氏とGianluca Sabbioni氏はステランティス傘下となったFCA Italyに所属しており、現在もイタリア国内に居住している。司法省は身柄を確保できていないものの、今年3月に起訴した。米ミシガン州に居住するEmanuele Palma氏についてはイタリア国内の2人よりも早く、2019年9月に起訴した。司法省は3人の罪状について大気浄化法(CAA)違反だけでなく、詐欺罪などでも起訴したと説明している。

FCAの不正疑惑を巡っては2017年5月に司法省がFCAを民事で提訴。2014~16年モデルのディーゼル車に排ガス量を制御するソフトウエアを違法に搭載していたとし、問題となった車両の修理と販売停止、民事制裁金の支払いなどを求めた。問題とされたのはジープ「グランド・チェロキー」とダッジ「ラム1500」の排気量3000ccのディーゼルエンジン搭載車の14~16年モデルで、累計販売台数は10万4000台に上る。

■民事の和解では8億ドル超を支払い

FCAは2019年1月に米国の連邦政府と各州政府などの当局、対象車両のオーナー側と和解したと発表。民事制裁金やオーナーへの補償などを含めた総支払額は約8億米ドルに上るとしていた。2020年9月には投資家の誤解を招いたとして米証券取引委員会(SEC)に950万米ドルの和解金を支払うことでも合意していた。

2021/4/21

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する