公共交通機関向けの自動運転車の開発を手掛ける米ADASTECは8日、世界初の「レベル4」の自動運転バスプラットフォーム「flowride.ai」を発表した。ADASTECは、トルコの商用車メーカーのカルサン・オートモーティブ(Karsan Automotive)と提携し、flowride.aiを全長8メートルのEV(電気自動車)バス「ATAK」に統合。現在、ルーマニアとトルコでいくつかのプロジェクト向けに配備されており、2021年に予定されているプロジェクトの一環として米国と欧州への展開を目指している。

■米テレダインのサーマルカメラ採用

flowride.aiは、24時間・年中無休で稼働するように設計され、気象条件の変化に対応するため、米テレダイン・フリアー(Teledyne FLIR)製のサーマルカメラを採用。他のセンサー・モダリティと組み合わせることで、他の車両や自転車、歩行者が道路を共有する混合交通環境向けの安全な自動運転システムを確立したとしている。

サーマルカメラは赤外線エネルギーを検出するため、夜間にはヘッドライトよりも最大4倍遠くまで見ることができる。熱感知は、夜間、日陰、夕暮れ、日の出、直射日光やヘッドライトのまぶしさなどで視認性が低くコントラストの高い条件など、他のセンサー技術では困難になる可能性がある運転状況で優れており、霧や煙、ほこりなどの厳しい気象条件において効果的という。

■前方と右後方にサーマルカメラ配置

ADASTECのflowride.aiはテレダイン・フリアー製のサーマルカメラを2台搭載。1つはバスの前方に配置されて前方をスキャンし、2つ目のカメラはバスの右側の後部に取り付けられ、横方向をスキャンする。サーマルセンサーで取得したデータは、RGBカメラや超音波センサー、レーダー、ライダー(Lidar、レーザー光線を使った距離計測技術)からのデータと融合され、さまざまな条件での環境を把握して、最も適切な意思決定と安全な動作を行うための冗長性と柔軟性を提供するという。

2021/6/9

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する