フォルクスワーゲン(VW)傘下の商用車メーカーの独MANトラック&バスは10日、オーストリアのオーバーエスターライヒ州にあるシュタイヤー(Steyr)工場をWSA Beteiligungs(WSA)に売却すると発表した。同工場を運営する子会社のMANトラック&バス・エステルライヒの全株式をWSAに売却する。


■TGLとTGMの生産は継続

同工場の従業員は全員がWSAに移籍するものの、2023年5月までMANのトラックである「TGL」と「TGM」の生産を継続する。WSAはMAN向けの部品の生産も継続することになっており、23年5月以降もTGLなどの生産が継続される可能性もあるとしている。

MANは2020年9月に同工場を売却または閉鎖する方針を示していたが、WSAのほかには有望な買い手候補が見当たらず、今年3月に提示されたWSAからの買収提案についても従業員の意識調査に基づいて一度は拒絶していた。だが、ほかの買い手が見つからないなかで従業員代表者からの主要な要望についてWSAの承認が得られる見通しが立ったことから、数日前になって売買合意が成立したと説明した。ただし、売却価額については公表していない。売買手続きは数週間以内に完了させる予定としている。

■ミュンヘン工場内にeモビリティセンター開設

MANは9日、独バイエルン州のミュンヘン工場内にeモビリティセンターを開設したと発表した。同センターはトラックのEVを試験生産する施設で、敷地面積は4000平方メートル。

ミュンヘン工場では将来的にEVと内燃エンジン車のトラックの両方を同一の生産ラインで量産することを計画しており、同センターはEVトラックの試験生産を通じて従業員の研修や習熟度の向上を目指すための施設として位置づけられている。EVトラックの生産に従事する従業員への研修は2023年末に完了する予定となっている。

2021/6/14

 

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