フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下の独ポルシェは30日、マレーシアに新工場を設置すると発表した。同社にとって欧州域外としては初の生産拠点となる。マレーシアの複合企業でポルシェ車の流通を請け負ってきたサイムダービーと協力して新工場を設置するとしている。


■マレーシア国内だけで販売

新工場の場所や生産能力、投資額については公表していないが、「小規模な組立工場」になるとしており、生産した車両はすべてマレーシア国内で販売し、輸出は行わない方針を示した。デトレフ・フォン・プラーテン販売担当取締役によれば、マレーシア工場の開所は来年中となる見込みだ。

ポルシェのマレーシア工場を巡っては今年2月、サイムダービーの自動車事業部門であるサイムダービー・モーターズ(SBM)とSBMの子会社であるイノコムがポルシェと提携して設置する計画があると地元週刊経済紙のエッジ・ウィークリーが伝えていた。

その際には、イノコムが同国北部のケダ州クリムで新工場を建設する方向で検討しているとされた。クリムはマレーシアの自動車産業の集積地として知られており、サイムダービーは2018年5月にBMW車に搭載するエンジンを製造する新工場を開設。2014年5月にはイノコムの工場の敷地内で、マツダ車専用の車両組立工場も完成し、量産を開始していた。

■上海市に開発拠点

ポルシェはまた、中国・上海市に研究開発(R&D)拠点を設置することも明らかにした。同社はこれまでにもスウェーデン北部から南アフリカのヨハネスブルク、米カリフォルニア州など世界各地で研究開発業務に取り組んできたが、中国が6年連続で最大市場となったことから、中国人消費者に特有のニーズに対応するために永続的なR&D拠点を設置する必要があると判断した。

ただし、同拠点の英文表記は「R&D satellite location」となっており、さほど規模は大きくないもようだ。同拠点も2022年中に開所する予定だ。

2021/8/31

 

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