スウェーデンの新興の電動トラックメーカー、ボルタ・トラックス(Volta Trucks)は8日、フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下の独MANが今年6月に売却したオーストリアのシュタイヤー(Steyr)工場に生産を委託することで合意したと発表した。2022年末までに量産を開始する予定だ。


■受託企業はシュタイヤー・オートモーティブ

同工場はMANがWSA Beteiligungs(WSA)に売却した後、WSAによってシュタイヤー・オートモーティブに改称されており、ボルタはシュタイヤー・オートモーティブに生産を委託することになった。

ロイター通信によると、シュタイヤー・オートモーティブの最高経営責任者(CEO)はジークフリート・ヴォルフ氏が務めており、同氏はカナダの自動車部品・完成車受託生産メーカーのマグナ・インターナショナルで幹部を務めていた経歴を持つ。シュタイヤー・オートモーティブはMANから工場を引き継いだ際、2023年5月までMANのトラックである「TGL」と「TGM」の生産を継続することになった。同時に他社からの生産受託も可能になったとされる。

■23年中に5000台を生産へ

シュタイヤー・オートモーティブは2022年の半ばにボルタにとって初の商品となる「ボルタ・ゼロ(Volta Zero)」の試験生産を始め、2022年末までに量産を開始する予定。2023年中に5000台の生産を目指す。今回の合意に伴う新規雇用創出は直接雇用分が500人で、サプライヤーなどを含めた間接雇用が2000人に達するとした。

ボルタ・ゼロの車両総重量は16トンで、都心部の貨物輸送専用に開発された。航続距離は150~200キロメートルとされる。ボルタは今年5月に発表した経営戦略で車両総重量7.5~19トンの4モデルの電気自動車(EV)のトラックを開発すると表明。2025年までに年間生産台数2万7000台を目指すとしていた。

■自社工場の前に委託でノウハウ蓄積

ボルタは今年4月、日産自動車が閉鎖する予定となっているバルセロナ工場での生産を検討すると表明。2020年9月には英国内での生産も検討するとしており、将来的には自社工場での生産に意欲を示しているが、完成車の生産に必要なノウハウを蓄積するためにもシュタイヤー・オートモーティブへの生産委託が有益と判断し、今回の合意に至ったと説明している。



2021/9/10

 

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