電池材料の開発を手掛ける豪ノボニクス(Novonix)は22日、米テネシー州ハミルトン郡チャタヌーガに建設した新工場を正式開所した。同社にとってチャタヌーガで2番目の生産拠点。米国製の人造黒鉛を初めて使用したリチウムイオン電池のアノード(負極)材料を製造する。開所式にはグランホルム米エネルギー長官も出席した。


■25年までに年間4万トン生産へ

同工場はかつて米ゼネラル・エレクトリック(GE)が保有し、原子力タービンを製造していたが、2016年に操業を終了。ノボニクスが取得し、約2000万米ドルを投じて改修した。総投資額は1億6000万米ドルに上る。約300人を雇用し、2023年までに年間1万トン、25年までに同4万トンの生産を目指す。

ノボニクスの取締役で、新興EV(電気自動車)メーカーの米ルーシッド・モーターズ(Lucid Motors)の会長でもあるリバリス氏は「当社の斬新な技術は、米国と世界のEV市場の進むべき道を示している」と強調した。

■長寿命で高性能の負極材料を開発

ノボニクスは2012年、グラファイトコープ(GraphiteCorp)として豪クイーンズランド州ブリスベンで創業。17年にカナダのCoulometricsとの合弁事業である電池の負極材料事業のPUREgraphiteを設立し、電池の試験機器を開発するカナダ企業のノボニクスを買収した後、社名を電池産業で知名度の高いノボニクスに変更した。

特にEVや蓄電アプリケーションなどのリチウムイオン電池向けに、人造黒鉛を使用した長寿命で高性能の負極材料の開発と商業化を進めている。人造黒鉛は天然黒鉛に比べて分子が安定しているため電池メーカーの間で需要が高まっているが、高コストであることがネックとなっていた。

ノボニクスは19年12月、韓国のサムスンSDIからリチウムイオン電池用の人造黒鉛を使用した負極材料を受注したと発表している。受注額は公表していない。

2021/11/25

 

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