ツバキ・ナカシマ(本社:奈良県葛城市)は15日、セラミックボールの生産能力を大幅に増強するため、タイに第2工場を建設すると発表した。同社の精密セラミックボールは、ターボチャージャーや工作機械のスピンドルモーターなどのベアリングに使用されている。

■EV向け需要が加速度的に増加

セラミックボールの需要は、工作機械向けの需要が順調に積み上がっていることに加え、電気自動車(EV)向け需要が高電圧化やユニットの小型化を背景に加速度的に増加。ツバキ・ナカシマのセラミックボールのグローバル生産能力は、2022年度末までに売り上げベースで計98億円を見込んでおり、23年以降のグローバル需要に対応するため、さらなる生産能力の増強が必要となっているという。

タイ子会社のTNラヨンが中部ラヨン県に所有する現工場に隣接して土地と建物を取得する予定で、2022年第3四半期(7~9月)以降の生産開始を予定する。年産能力は150トンで、売上高106億円相当。建屋を増築すれば、年産300トンまで拡張可能という。投資額は計約27億円。

■蘭のローラー工場を閉鎖、ボスニアに集約

ツバキ・ナカシマは同日、オランダの精密ローラー事業から撤退し、欧州の同事業のすべての機能をボスニアに集約すると発表した。オランダ工場の高コスト体質は同事業の収益改善を図るうえで困難と判断。オランダ工場を閉鎖し、精密ローラー事業のすべての機能をボスニア工場に集約することで、抜本的な生産性向上を通じ、競争力を獲得する。

ボスニア工場の現有用地を活用し、約2.5倍の建屋を4月に完成させる予定で、すでに設備などの移管を順次進め、6月以降は大幅増強した新工場を本格稼働する計画。これに伴い、今年末をめどにオランダ工場の稼働を停止する。新工場の建屋や設備などの投資額は約12億円。構造改革費用と一時的な生産中断による損益悪化は約30億円を見込んでいる。

同社の精密ローラーは、トランスミッションやエンジン、ポンプ、ホイールベアリングなどの用途で使用されている。

2022/2/16

 

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