独BMWは2月28日、同社のエッジエコシステム(Edge Ecosystem)が、米マイクロソフトと独コンサルティング大手ローランド・ベルガーが選ぶ「マイクロソフト・インテリジェント・マニュファクチャリング・アワード(MIMA)2021」のエンビジョン(Envision)部門を受賞したと発表した。同システムは、BMWグループの生産システム全体のデジタル化を進展する上で重要な推進力になっているという。

■エッジデバイス上の生産関連アプリを世界中に配布

BMWのエッジエコシステムはクラウドベースのソフトウエアスイートで、エッジデバイス上の生産関連アプリを世界中に配布し、設定し、管理することができる。これにより、標準化されたビジネスプロセスから逸脱することなく、ユーザー自身がソフトウエアのイノベーションを効率的に行うことができるようになったという。

エッジエコシステムは、BMWグループが世界中に保有する何千ものデバイスを手作業で管理する労力を大幅に削減。また、誤った設定による生産停止を防ぎ、メンテナンスコストを削減できる。

BMWのエッジエコシステムはオープンで標準的なIT技術を使用しているため、外部のパートナーやサプライヤーも特別な調整なしに世界中のハード/ソフトウエア・コンポーネントをBMWグループの生産システムに効率的に統合できる。

■生産効率の向上とダウンタイムの削減

アプリの構成はクラウドプラットフォームによって一元管理され、ホットスワップが可能。従って、エッジデバイスに障害が発生した場合、アプリと構成全体を新しいデバイスにロードするのに数分しかかからない。このためダウンタイムが最小限に抑えられるとともに、個別の複雑なバックアップ管理が不要になる。

■AIモデルを世界的に配布

BMWグループのエッジエコシステムは、すでに世界のいくつかのアプリケーションで使用されている。生産現場では、インライン品質管理に使用される特殊なディープラーニング(深層学習)モデルのカメラとエッジデバイスを接続。また、アプリケーション固有の処理をローカルに行う画像データを管理し、AIモデルのアジャイルな交換に必要な柔軟性を提供する。

エッジエコシステムはプレス工場でも活用されている。プレス加工では成形する前にシートメタルに加工油を塗布する必要があるが、その量は保管時間などさまざまな要因によって異なる。そこで、各シートの塗布量のパラメーターをマシンに送信し、リアルタイムに制御するディープラーニングモデルを開発した。このモデルは、BMWグループの世界のプレス向けのアプリケーションとしてエッジエコシステムで配布され、絶えず更新されているという。

2022/3/2

 

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