独ポルシェは21日、同社が出資し、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)から製造する合成燃料「eフューエル(e-fuel)」を手掛けるハイリー・イノベーティブ・フューエルズ(HIF)が南米チリの最南部プンタ・アレーナス(Punta Arenas)に開設したeフューエルのパイロットプラントを正式に開所したと発表した。現地時間の20日に同プラントで製造された最初のeフューエルをポルシェ「911」に供給するセレモニーが行われた。

■eモビリティとeフューエルを両輪に

同プラントで風力エネルギーを使用して製造されるeフューエルは、ガソリンエンジンによる、ほぼカーボンニュートラルな走行を可能にする。ポルシェはこれまでにeフューエルの開発と生産に1億米ドル以上を投資。今年4月にはHIFに7500万米ドルを出資した。HIFはチリのほか、米国と豪州でeフューエルの工場の建設と運営を計画している。

ポルシェの調達担当取締役のバーバラ・フレンケル氏は、同社が電気自動車(EV)などのeモビリティと、補完的なテクノロジーとしてのeフューエルの「ダブルe」の道を歩むと説明。世界には現在、13億台以上の内燃エンジン車が存在し、これらの多くは今後数十年にわたって使用されることになるとしたうえで、eフューエルは、既存の車の所有者に、ほぼカーボンニュートラルな代替燃料を提供すると述べた。

■26年に年産5.5億リットル目標

チリに開設したパイロットプラントは年間で約13万リットルのeフューエルを生産する予定。2024年には年間で5500万リットルの生産を目指し、26年には年産5億5000万リットルを目標にしている。

チリ南部は年間270日程度は風が吹くため、風力発電機をフル稼働でき、eフューエルの生産に理想的な条件を備えている。パイロットプラントがあるプンタ・アレーナスはマゼラン海峡の近くに位置し、カボ・ネグロ港から、従来の燃料と同じようにeフューエルを世界中に輸送し、既存のインフラを利用して流通させることが可能という。

ポルシェは2030年までにバリューチェーン全体でCO2ニュートラルを達成することを目指している。

2022/12/22

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する