住友金属鉱山は25日、リチウムイオン電池の正極材の製造技術を開発するカナダのナノ・ワン・マテリアルズ(Nano One Materials)に約1690万カナダドル(約19億円)を出資し、株式の5%を取得すると発表した。両社は電気自動車(EV)向けの電池正極材の製造技術の共同開発をはじめとする協業活動の実施に合意した。


■少ない工程で正極材を製造

ナノ・ワンは、多数の工程を組み合わせて正極材を製造する既存の技術と比べ、少ない工程で原料から製品まで製造する「One Pot技術」という独自の技術を持つ。同技術により、従来よりも低コストで環境負荷の低いプロセスで正極材を製造できることが期待されているという。

住友金属鉱山はナノ・ワンの技術を活用することにより、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)やニッケル系の正極材の低コストかつ環境負荷の低い製造プロセスの実現を目指す。また、共同企業体(Joint Venture)の設立やライセンス契約なども含めた正極材製造に関する協業の検討も進める。

住友金属鉱山は需要拡大に対応するため、車載用電池向けの正極材の生産増強を図っており、現在の月産約5000トンから、2025年度に7000トンにし、27年度には1万トン、30年度には1万5000トン体制の構築を目指している。

2023/09/26

 

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