韓国のLG化学は7日、米ゼネラル・モーターズ(GM)と電気自動車(EV)向け電池の正極材(カソード)を供給する長期契約を締結したと発表した。2026年から2035年までの間に25兆ウォン(約2兆8000億円)規模の正極材を供給する。

■500キロ航続のEVで500万台分

LG化学が昨年12月に起工し、建設中となっている米テネシー工場で生産するNCMA(ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム)正極材をGMに供給する。供給量は同工場が操業を始める2026年から計50万トン以上となっており、航続距離500キロメートルのEVにして500万台分に相当する。

GMはLG化学から調達した正極材を、LG化学の電池事業子会社であるLGエナジーソリューション(LGES)との合弁会社のアルティウム・セルズ(Ultium Cells)の工場に供給する。

GMとLG化学は2022年7月に計96万8000トンの正極材を2030年までに供給する包括契約を締結しており、今回の契約で供給内容をより具体化させたことになる。GMにとってはLG化学のテネシー工場から政局材を調達することにより、米インフレ抑制法(IRA)に基づく税額控除の適用を受けられるようにする狙いがある。

■LG化学は前駆体を韓国から調達

テネシー州モンゴメリー郡クラークスビルで建設中のLG化学の工場は年産能力が6万トンで、米国最大の正極材工場になる見通し。同工場では韓国の高麗亜鉛との合弁会社である韓国前駆体(KPC)が蔚山(ウルサン)市で製造する前駆体を使用するなど、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国から鉱物や前駆体を調達し、EV税額控除の適用対象となることを目指している。

2024/2/8

 

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