欧米ステランティスは23日、2026年中に固体電池の試験搭載を開始すると発表した。同社が2021年に7500万米ドルを出資した米ファクトリアル(Factorial)の固体電池を試験的に搭載し、性能などを検証する。

固体電池を試験搭載する電気自動車(EV)は「demonstration fleet(デモ車両群)」と位置づけられているものの、2026年までに「launch(発売)」され、「路上を走行する」としており、限定的に販売される可能性がある。

■ダッジ「チャージャー・デイトナ」に搭載

ファクトリアルの固体電池は1キログラム当たり390ワット時のエネルギー密度を持つとされ、次世代のダッジ「チャージャー・デイトナ」に搭載される。チャージャー・デイトナは大型の乗用車やスポーツタイプ多目的車(SUV)で共用されるプラットフォーム(車台)の「STLAラージ」をベースとして生産される。STLAラージ共用車両は傘下の各ブランドの合計で最大200万台の販売が見込まれている。

全固体電池はEVの航続距離が長いことに加え、出火のリスクを減らし、より軽量で、低コストのEVを可能にする技術として注目を集めている。ただ、大手自動車メーカーと電池メーカーにとって、大規模な量産化が難しいことが問題となっている。ステランティスは今回の試験搭載について「実用化に向けたキーとなるステップ」と説明している。

ファクトリアルに対しては、ステランティスのほか、メルセデス・ベンツ、現代自動車などが出資している。

■LGESとの合弁工場で電池モジュールの生産開始

ステランティスは22日、韓国のLG化学傘下のLGエナジーソリューション(LGES)との合弁会社であるネクストスターエナジー(NextStar Energy)がカナダのオンタリオ州ウィンザーで建設中の電池セル工場で電池モジュールの生産を開始したと発表した。電池セルの生産は2025年中に工場が完工してから開始する予定としている。

同工場の完工後の電池セル生産能力は年間49.5ギガワット時(GWh)で、従業員数は2500人となる計画だが、現時点ですでに450人を雇用しているという。

2024/10/24

 

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