欧米ステランティスは5日、電池技術開発会社の米ゼータ・エナジー(Zeta Energy)とリチウム硫黄電池を共同開発すると発表した。2030年までに量産開始を目指すとしている。
リチウム硫黄電池はニッケルやコバルトなどの鉱物を使用する必要がなく、軽量なことが特長とされる。両社は1キロワット時(kWh)当たりのコストで通常のリチウムイオン電池の半分以下、急速充電に必要な時間を最大で半減させるリチウム硫黄電池を共同開発する。
■既存工場で量産、サプライチェーンは域内で完結
両社はまた、リサイクル材料からの生産が可能で、既存のリチウムイオン電池工場の設備で量産できることも想定。サプライチェーン(供給網)を欧州や北米域内で完結させることで中国などの資源に依存せずに量産できるようにしたい意向だ。
ゼータは2014年にテキサス州で設立された。黒鉛やコバルト、マンガン、ニッケルを使用せずに生産できるリチウム硫黄電池の開発を手がけており、約60件の特許を保有する。
■ステランティスは昨年5月にライテンにも出資
一方、ステランティスは昨年5月にベンチャーキャピタル(VC)子会社のステランティス・ベンチャーズを通じて3次元グラフェン技術などを使用してリチウム硫黄電池を開発する新興企業の米ライテンに出資。ライテンは今年10月にネバダ州リノ(Reno)で新工場を建設すると発表。リチウム硫黄電池を量産する世界初のギガファクトリーになるとした。同工場への投資額は10億米ドルで、フル稼働時の生産能力は年間10ギガワット時(GWh)。2027年中に第1段階の生産を開始するとしていた。
2024/12/09