高級車向けブレーキシステムの伊ブレンボとタイヤ大手の仏ミシュランは11日、両社のノウハウと専門知識を活用したインテリジェントソリューションを組み合わせるため、グローバル契約を締結したと発表した。
ブレンボが持つブレーキシステム、車両モデリング、人工知能(AI)の技術と、ミシュランのタイヤモデリングやアルゴリズム開発の専門性を融合する。
ミシュランの接続型ソリューションソフトウエアとブレンボのブレーキシステム「SENSIFY」の間でリアルタイムにデータを交換。ミシュランが提供するタイヤの摩耗状況や荷重、グリップデータにより、エンジニアはブレーキシステムを極めて精密に調整することが可能となり、SENSIFYの性能がさらに引き上げられるという。
ブレンボのSENSIFYは同社のブレーキコンポーネントとAI、アルゴリズム、センサーを活用して各ホイールを独立して制御するデジタルブレインを融合。あらゆる車両に対応する次世代のブレーキシステムとして新たな基準を確立し、さまざまな車種への統合が容易に行える。
■制動距離を最大4メートル短縮
初期テストは第1段階でミシュランのタイヤモデルとアルゴリズムがブレンボのインテリジェントブレーキモデルおよび車両シミュレーションと統合され、完全に仮想環境で実施された。第2段階ではミシュランの研究センターにあるテストトラックで実際の試験が行われ、シミュレーション結果が確認された。テストの結果、同じタイヤを使用したさまざまな条件下で、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)作動中に最大4メートル(約13フィート)の制動距離短縮が確認された。4メートルは平均的な自動車の全長に相当する。
さらにブレーキシステムは、反応時間の短縮、トラクションロスの最小化、横方向の安定性向上、さらにはホイールロックの回避といった性能を発揮。これらの要素が相まって、よりスムーズで快適な運転体験が実現するとしている。
2024/12/12