自動車部品大手の仏ヴァレオは22日、中国の大手自動車メーカー2社から新世代のデュアル・インバーター・ソリューションを受注したと発表した。2026年から量産を開始する予定。ヴァレオのソリューションは2社のプラグイン・ハイブリッド車(PHV)に搭載される。
■PHVやEREVの効率化に寄与
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)では、インバーターがバッテリーの電力を変換して電動モーターを駆動する。PHVやレンジエクステンダー式EV(EREVまたはREEV)には、トラクション用と発電用の2つのモーターが必要で、従来は別々のユニットで管理されていた。デュアル・インバーターは、この両方を1つのコンパクトなシステムに統合し、制御基板を共有することでエネルギー損失とコストを低減しつつ、効率、航続距離、自動車メーカーにとっての設計の柔軟性を向上させる。
ヴァレオのデュアル・インバーターはスケーラブルな400?800ボルト(V)設計で、400VのEVだけでなく、超急速充電を可能にする新世代の800VのEVにも使用可能。自動車メーカーにとってこの柔軟性は開発コストを削減し、単一のプラットフォームで複数の車両レンジをカバーすることを可能にする。
仏ヴァレオのデュアル・インバーターは、コスト重視のモデル向けの従来のシリコン(Si)モジュール、最大効率を必要とする高性能車向けのシリコンカーバイド(SiC)のほか、性能とコストのバランスを取るハイブリッドSi/SiCオプションで構成することもでき、自動車メーカーは市場セグメントごとに技術を自由に適合させることができる。
ヴァレオのデュアル・インバーターは、自動車の機能安全規格「ISO26262」で安全度で最高レベルの「ASIL―D」を満たすモジュラー設計が特長。これは、コンポーネントが信頼性、耐故障性、安全性に関する最も厳格な要件を満たしていることを意味する。自動車メーカーにとっては、車両認証を簡素化し、システム統合における最大限の信頼性を保証するという。
■第1世代の納入実績は50万台以上
同社の第1世代のデュアル・インバーターは既に50万ユニット以上を納入。新世代のデュアル・インバーターは、EVの航続距離と性能に新たな基準を打ち立てるとしている。
2025/10/23


