ゼネラル・モーターズ(GM)は1日、バーラ最高経営責任者(CEO)の主導で今年1月から策定が進められていた「戦略計画(Strategic Plan)」を投資家向け説明会で発表した。中国事業の強化やプラットフォーム数の削減、自動車のネット接続の推進などを柱とする。今年の第2四半期に6.3%だった利払い・税引き前利益(EBIT)のマージンを9~10%に引き上げることを目指す。

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■中国で5工場を新設、140億ドル投資

同社にとって年間販売台数の3分の1を占める中国市場では、2018年までに合弁会社3社を通じて140億米ドルを投資する。5工場を新設し、年間販売台数を現在の300万台強から500万台へと引き上げる方針だ。

18年までに60の新型車または改良モデルを投入する。このうち9モデルはスポーツタイプ多目的車(SUV)になるとした。

また、金融子会社のGMフィナンシャルが年内をめどに中国での営業を開始すると明らかにした。

■25年までに4プラットフォームへ

生産技術面では、プラットフォーム(車台)数の削減を実行する。地元メディアによると、2015年に14ある車台を2020年までに11、2025年までに4まで絞り込むことになった。

同社は10年には30の車台を使用していたが、12年1月に18年までに14へ削減すると発表。今回はさらに一歩進め、途中の20年の段階でコア車台による生産比率を99%まで高めるとした。10年のコア車台生産比率は31%だった。

技術面では車台のほかに鋼材とアルミ材を溶接・プレス・鋳造加工する「ミックスド・マテリアル・ボディー・ストラクチャー」の採用を推進することで、軽量化と部品点数の20%削減を目指すとしている。

■キャデラックも中国重視

キャデラックブランドについても中国市場での展開を重視しており、今後5年以内に中国で9モデルを投入するとした。現在の最大市場である北米では15年末までに4モデルを投入する。

ネット接続については、18年までに同社が高速通信規格の「4G LTE」に対応した車両を最も多く展開するメーカーになるとした。車々間(V2V)通信機を搭載したキャデラック「CTS」を2017年モデルで販売するほか、「スーパークルーズ」と呼ばれる自動運転システムの導入も推進していく。


■欧州は16年に黒字化

財務面では、2016年に欧州事業が10年超ぶりに黒字化するとともに、北米事業も同年に営業利益率10%の目標を達成する見込みだと明らかにした。

欧州では16年までに営業損益が15億米ドル改善するとしている。7億米ドルのリストラ費用がなくなるほか、販売増などを背景に4億米ドルの上積みを見込む。中国では引き続き純利益ベースで9~10%のマージンを想定している。

一方、説明会に出席したアナリストからは、すでに主力ピックアップトラックを発売してしまったGMは「商品サイクルのピーク」に到達しており、今後の大幅な増益は見込めないのではないかとの懸念が示された。

こうした見方に対し、同社のアマン社長(プレジデント)は「それは悲観的で間違っている」と述べ、同社が今後18カ月以内に発売する新型車と改良モデルが今後の収益の柱になると主張した。

これらの投入予定車両が売上高に占める割合は15年に27%、16~17年に38%となり、19年には47%に達するとした。具体的には、シボレーの「クルーズ」と「マリブ」、オペルの「コルサ」と「アストラ」などが含まれるもようだ。

2014/10/2

 

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