韓国の鉄鋼大手ポスコはこのほど、全羅南道・光陽市で建設を進めていた第4熱延工場を竣工した。権五俊(クォン・オジュン)会長は、光陽第4熱延工場の竣工により、高級自動車鋼板と高機能鋼材市場の地位を固める方針を示した。

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新工場は海外技術に依存していた従来の方式とは異なり、設計の初期段階からポスコグループが転炉・延鋳機・圧延機などをはじめ、ソフトウエア設備の制御・電気システムまで100%独自で開発したという。

■中間冷却過程を省いて時短、蒸気転用でコスト削減も

製鋼・延鋳工程には、従来の転炉の長所を組み合わせた新タイプの転炉や、高級自動車鋼板専用の延鋳機などを導入。従来は冷却―スカーフィング―表面検査―研磨などの単位作業を分散処理していたが、新工場ではスラブ鋳造の完了時点から熱延加熱炉まで中間冷却過程なしに、熱間状態で素材をすぐに供給できるようにし、延鋳・圧延工程間の素材の供給時間を大幅に短縮した。

熱延加熱炉には蒸発冷却設備であるECS(Evaporating Cooling System)を設置し、1時間当たり23.4トンの蒸気を生産。このうち約30%を第4熱延で使用し、残りはほかの工場のエネルギー源に回すことで、年間60億ウォン(約6億3000万円)のコスト削減が達成できる見込みという。

仕上げの圧延段階では、高剛性の圧延機を採用して圧延の直進性を確保する一方、高強度・幅広の薄物材の量産が可能になった。また、張力制御や形状制御のための新技術を導入して、高級鋼の品質レベルを一層高めた。

このほかにも、従来のチェーン(chain)タイプの代わりに、パレット(pallet)タイプのコンベアを導入し、コイルの移送過程で発生し得るコイル離脱の可能性を下げ、輸送所要時間を大幅に短縮した。

■大半を海外の自動車メーカーに供給

ポスコは第4熱延工場で生産される年間330万トンの製品のほとんどを、海外の自動車鋼板生産法人を通じてグローバル自動車メーカーに供給する予定。

特に第4熱延工場は、厚さ1.2~22mm、幅700~1950mmまで顧客のニーズに合わせて差別化・専門化された対応ができ、既存の顧客であるグローバル自動車メーカーの競争力向上にも貢献できるとしている。

ポスコは第4熱延工場の竣工とともに、グローバル自動車メーカーの新型車の初期開発にも積極的に参入するなど、顧客志向ソリューションマーケティングを一層強化していく方針だ。

2014/11/11

 

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