英ロンドンに本拠を置く国際的な自動車安全性評価機関であるグローバルNCAPは4日、南米のラテンNCAPが実施した衝突安全テストで低価格車の力帆「320」が星ゼロ個の低評価を受けたと発表した。

43333.jpg


320は中国の自動車メーカーである力帆汽車が販売する小型車で、今回の衝突実験ではチリで購入されたエアバッグを装備しない車両で実験が行われた。時速64キロメートルで前面40%のオフセット衝突を実験したところ、ドライバーは頭部と胸部に深刻な打撃を受けた。

後部座席のチャイルドシートに固定された3歳児と1歳6カ月の乳児についても49点満点中の4.72点で星ゼロ個となっている。前席の成人2人も17点満点中の0.00点で星ゼロ個となった。

ラテンNCAPでは力帆のほかにも吉利汽車や江淮汽車といった中国車メーカーの車両がこれまでにも同様の試験を受けているが、成人と子供の双方で星ゼロ個とされたことはない。

■エアバッグがあっても無意味

今回の実験ではエアバッグを装備しない車両が使用されたが、ラテンNCAPは同モデルの衝突時の車体は安定性を欠いており、衝撃でハンドル自体が弾き飛ばされているため、エアバッグを装備していたとしても効果はなかったと断定した。

ラテンNCAPの事務局長でグローバルNCAPの技術ディレクターを兼務するAlejandro Furas氏は今回の結果について「力帆車を購入するのは初めて新車を購入するファミリー層や若年層が多い。彼らをこのような危険性にさらすことは受け入れられない」と主張。ラテンNCAPは南米・カリブ海諸国の政府に対して国際連合(UN)で定められている最低限度の安全基準を満たしていない車両を市場から締め出すべきと呼び掛けている。

ラテンNCAPはまた、シボレーの小型車「オニキス」の実験結果も公表しており、成人は星3個、子供は星2個としている。

2014/12/5

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する