自動車部品大手の米ビステオンは17日、69.99%を出資する韓国の合弁会社であるハラ・ビステオン・クライメート・コントロール(HVCC)の持分を売却すると発表した。


買い手は韓国のプライベート・エクイティ(PE)会社であるHahn & Companyとタイヤ大手のハンコック・タイヤの2社。総額36億米ドルでHVCC株の69.99%を取得する。関係当局や株主総会の承認などを経て2015年の上半期(1~6月)中に取引を完了する予定だ。残りの30%強のうち、8.1%は韓国の自動車部品大手である万都が保有している。

買収額はHVCCの2014年9月通期決算の利払い・税・償却前利益(EBITDA)の10.1倍に相当する。1株当たりにすると5万2000ウォン(約5567円)となる。

HVCCは韓国に本社を置き、19カ国に計36カ所の工場と4カ所のグローバル技術センターを展開している。従業員数は1万5500人。エアコンやコンプレッサー、パワートレインクーリング装置、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)のバッテリー冷却装置など、幅広い製品を供給している。

■今後は「電子部品メーカー」に

ビステオンのティモシー・D・ルーリエット最高経営責任者(CEO)はHVCCの売却を決めた理由について「HVCCは14年に好業績を挙げており、売却するのに最適な時期と判断した。当社は今後、コックピット・エレクトロニクスとコネクテッドカー関連事業に集中していくことになる」と述べた。

ビステオンは11月3日にも自動車内装品事業を大手投資会社の米サーベラス・キャピタル・マネジメントに売却する手続きが完了したと発表したばかり。世界各地の21工場がサーベラス傘下に入るとしていた。

ビステオンはその際に「内装品事業から撤退することで、コックピット・エレクトロニクス事業や、ラジエーターや空調などの熱制御関連事業に集中する」方針を示していた。HVCCの売却が実現したことで、今後のビステオンは実質的に「電子部品メーカー」として存続していくことになる。

■HVCC現経営陣は留任

一方、買い手のHahn & Companyのスコット・ハーンCEOは「HVCCは韓国で首位、世界で2位の自動車用空調・熱制御部品メーカーであり、当社のポートフォリオにとって適切な投資先だ。ハンコック・タイヤと協力することで、グローバルに顧客ベースを拡大していきたい」と述べた。同CEOはまた、HVCCの現経営陣を留任させる考えを示している。

2014/12/18

 

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