日立金属は16日、同社のグローバル技術革新センター(GRIT)とフラウンホーファーIISB(集積システム・デバイス技術研究所)が電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)に搭載されるオンボードチャージャー(OBC)の高電力密度化技術の開発に成功したと発表した。試作したOBCは電力密度3.8kW/Lと世界最高レベルの高出力密度で動作することを確認したとしている。


OBCは交流電圧を直流電圧に変換し、EVやPHVのバッテリーに充電するためのAC/DCコンバーター。OBCはEVやPHVのバッテリーに短時間で充電するために高出力であることが求められるとともに、車内を広く保つために小型であることも求めらる。一方、OBCの高出力化と小型化はトレードオフの関係にあり、その両立が課題となっていた。

■高出力化と小型化を両立
日立金属とフラウンホーファーIISBはが試作したOBCは、日立金属の軟磁性部材とフラウンホーファーIISBの回路技術を用いることで、高出力化と小型化を両立。具体的には、入出力のノイズフィルター部にナノ結晶合金ファインメット「FT―3K50T」を用いたコモンモードチョークコイルを、整流・力率改善回路部にはアモルファスパウダーコア「HLM50」を用いたチョークコイルを、DC/DCコンバーター部には低損失ソフトフェライトコア「ML29D」を用いた共振インダクタ一体型絶縁トランスを、それぞれ採用。

出力密度3.8kW/Lと世界最高レベルの高電力密度を確認したことに加え、3台並列接続による3相入力11kWでの正常動作も確認した。さらに、複数台並列動作させることで単相および3相AC入力に対応でき、最大6台並列により22kWの出力まで可能な設計となっている。このようなフレキシビリティーを持たせることで、OBCの設計時間とコストの大幅な削減が期待できるという。

2019/4/17

 

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