現代自動車は14日、グループ傘下の起亜自動車とともにクロアチアの電気自動車(EV)メーカー、リマック・アウトモビリに8,000万ユーロ(約98億円)を出資すると発表した。出資比率については公表していない。リマックは高性能EVの開発を進めていることで知られており、現代・起亜は出資を通じて技術的知見を得るほか、リマックからの部品供給にもつなげていく狙いがあるもようだ。


現代自は6400万ユーロ(約78億円)、起亜自は1600万ユーロ(約20億円)をそれぞれリマックに出資する。リマックには昨年6月にフォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェも出資しており、ポルシェは10%を出資したとしていたが、出資額については公表していなかった。

■ミッドシップのコンセプトEVを共同開発
現代・起亜とリマックは今後、EVと燃料電池車(FCV)の試作車を共同開発する。まずは現代自のモデルに設定されているスポーツグレードの「Nシリーズ」のミッドシップレイアウト・コンセプトカーをEV化する。将来的な量産化も視野に入れるとした。ミッドシップレイアウトではモーターなどの駆動システムが車体中央部に搭載されることで、高い運動性能が得られる。

現代自グループの鄭義宣(チョン・ウィソン)首席副会長は「リマックは高性能EVの分野で際立った能力を持つ企業であり、当社がクリーンモビリティー戦略を推進していく上でも理想的なパートナーだ」と述べた。

リマックは2009年の設立で、現在の従業員数は500人。1988年生まれの31歳であるメイト・リマック氏が創業した。EVのスーパーカーの開発を手掛けており、昨年3月に開かれたジュネーブモーターショーではコンセプトカーの「C Two」を披露した。C Twoの最高出力は2000馬力で、最高速度は時速412キロに達する。航続距離は650キロメートル。C Twoの時速100キロまでの加速性能は1.9秒で、ポルシェのハイエンドモデルである「911ターボS」の同2.9秒を大きく引き離したことで注目を集めた。

■20年中に部品と完成車の工場を開所
今後はティア1の自動車部品メーカーとしての成長も目指しており、すでに電池パックやモーターなどのパワートレインの生産工場の建設を進めている。同工場ではC Twoの生産も予定しており、2020年中に開所させる計画となっている。

リマックのメイト・リマックCEOは今回の合意について「当社はまだ若く小さいが、急成長する企業だ。現代自は強力な投資家であると同時に技術パートナーであり、今回の提携はティア1のEV部品メーカーとしての地位を強化するものだ」と語った。

2019/5/15

 

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