現代自動車グループは4日、工員の頭上作業の負担を軽減する新型のウエアラブル外骨格ベスト「Vest EXoskeleton (VEX)」を開発したと発表した。生産性を高めるとともに、工員の疲労を軽減することを目的としている。同グループ傘下の現代ロテムが12月に商業生産を開始する見通しで、世界中の工場で実装することを検討しているという。


■電池不要で、競合品より最大42%軽量
VEXは、人間の肩の関節を模倣し、マルチリンク・リフトアシスタント・モジュール(multilink lift assistant module)を採用。電池を必要とせずに機能する。重さは2.5キログラムで、競合する製品と比べて22~42%軽量。バックパックのように着用し、ユーザーはベストのショルダーストラップに腕を通し、胸と腰のバックルを締める。背部の長さはさまざまな体のサイズに合わせて最大18センチメートル調整でき、力の補助の程度は最大5.5kgf(重量キログラム)まで6段階に調整できる。

主に車両の下側のボルト締めや、ブレーキチューブの取り付け、排気管の取り付けなど、頭上作業を行う生産ラインの労働者を対象としている。VEXの開発に当たっては、米国の現代自グループの2工場で試験プログラムが行われ、生産性の向上と労働者の疲労の軽減に寄与。両工場ではすでに生産ラインにVEXを組み込んだという。

VEXの価格は、通常約5000米ドルの既存の製品よりも30%低いコストになると予想されている。

■「チェアレス外骨格」も開発
現代自グループは、ロボット技術の開発計画の一環として、もう1つの軽量ウエアラブルデバイスであるチェアレス外骨格「Chairless EXoskeleton(CEX)」を開発した。スツールや椅子なしで、座っている姿勢を維持するもので、最大で150キロの重量に耐えることができる。

CEXの重さは1.6キロで、軽量でありながら耐久性が高く、ウエストと腿、膝ベルトはユーザーの体のサイズと高さに合わせて調整可能。3つの異なる角度設定(85度、70度、55度)も備えている。ユーザーの背中と下半身の筋肉の活動を40%減らすことで疲労を軽減し、作業効率を高める。

同社はCEXについても近く商品化する計画という。

2019/9/5

 

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