自動車用触媒事業を手掛けるベルギーのユミコア(Umicore)は17日、独フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディと、同社の電気自動車(EV)の使用済みの電池モジュールからコバルトとニッケルを回収するクローズドループ(閉ループ)リサイクル事業で協業すると発表した。来年1月からパイロットプロジェクトを行う計画。契約額などは公表していない。

■「eトロン」の電池からリサイクル
ユミコアによれば、両社はすでに試験段階を終えており、アウディ初のEVであるスポーツタイプ多目的車(SUV)「eトロン(e―Tron)」の高電圧電池に使用されているコバルトとニッケルのうち、90%以上をリサイクルすることに成功したという。

ユミコアは来年から開始するパイロットプロジェクトで、アウディが提供するeトロンの電池モジュールからコバルトとニッケルを回収し、それらを加工処理した後、新たに前駆体(プリカーサー)と電極材料を生産する。当初はeトロンの開発車両から電池モジュールが提供されるとしている。

アウディの調達・IT担当取締役を務めるベルント・マルテンス氏は「電池材料のクローズドループは大いなる技術的跳躍だ」と述べ、「資源の節約と二酸化炭素(CO2)の削減を推し進めることで、持続可能なサプライチェーンを確立するというわれわれの目標に大きく近づき、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標へのマイルストーンになる」と意義を強調した。

2019/12/19

 

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