リチウムイオン電池技術を開発する米エネベート(Enevate、本社:カリフォルニア州アーバイン)は16日、低コストな第4世代電池技術「XFCエナジー(XFC-Energy)」を商品化すると発表した。これにより電気自動車(EV)の超高速充電と航続距離の延長が可能になるとしている。


XFCエナジーは、従来のリチウムイオン電池と比べて材料コストを抑え、高エネルギー密度の超高速充電を実現するとともに、既存の製造施設との適合性を維持できるソリューションを提供する。5分間で電池容量の75%まで充電でき、セルの体積エネルギー密度は800Wh/L。従来の大型リチウムイオンEV電池の体積エネルギー密度は500?600Wh/Lで、充電には通常1時間以上かかっていた。

エネベートの創設者であるパーク最高技術責任者(CTO)によると、XFCエナジーは大型のパウチ型、角型、円筒型のEVセル向けに設計されており、純粋なシリコンのアノードを高ニッケルのNCA(ニッケル、コバルト、アルミニウム)、NCM(ニッケル、コバルト、マンガン)、NCMA(ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム)を用いた先進的カソードと組み合わせている。7400万時間以上の電池セルのテストと同社の研究開発試作ラインで生産した100万メートルの電極、20億個に及ぶテストデータが結実したという。

■24~25年モデルに向け商品化
同社は現在、複数の自動車メーカーや電池メーカーと協力し、2024?25年モデルのEV向けに同技術の商品化に取り組んでおり、既存の製造インフラを活用して投資を最小化することが開発の中核的目標だとしている。

■ルノー・日産・三菱自アライアンスなどが出資
エネベートに出資するルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスのベンチャーキャピタルファンド、アライアンス・ベンチャーズのクリスチャン・ノスケ会長は「今後のEVの大量導入は、長い充電時間や走行距離の制約など、現在の障壁を取り除く先進的なバッテリー技術に大きく依存する」と指摘。エネベートは、廉価で使いやすく、高速充電が可能なクリーンなEVを実現できる重要な企業だとしている。

エネベートに対しては、アライアンス・ベンチャーズのほか、LG化学やサムスン電子、レノボ、ミッション・ベンチャーズ、ドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソン、青雲創投、インフィニット・ポテンシャル・テクノロジーズ、住友商事系列のプレシディオ・ベンチャーズ、CECキャピタルなどが出資している。

2020/1/17

 

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