フォルクスワーゲン(VW)傘下の商用車メーカーの独MANトラック&バスは26日、ドイツ国内で3500人の人員削減を行うことで労働組合側と合意したと発表した。ドイツとオーストリアで各1工場の閉鎖または売却も検討するとしている。

■VWでの就職機会を提供

人員削減の対象は正社員だけでなく期間従業員なども含まれる。正社員については希望退職を募り、期間従業員については契約期間の満了による人員削減を行う。対象者にはVWでの就職機会を提供するとしている。

独ザクセン州プラウエン工場とオーストリアのオーバーエスターライヒ州シュタイアー工場については閉鎖か売却を検討する。両工場の従業員については全員にVWの独ツビッカウ工場での就職を斡旋する方針だ。

独ラインラント=プファルツ州ヴィットリヒ (Wittlich)工場については、規模を縮小するものの、トラックの架装業務は維持する。ミュンヘンの本社工場とニュルンベルクの工場と研究開発(R&D)拠点、ザルツギッター工場は維持する。

同社は一連のコスト削減と売上高の増加により、17億ユーロ(約2142億円)の増益につながると見込む。販売面での効率化により4億5000万ユーロ(約567億円)の利益を生み出すほか、部材などの見直しで7億ユーロ(約882億円)、人件費で5億5000万ユーロ(約693億円)のコスト削減を計画している。

■30年までに40~60%のトラックをゼロ排出化

増益によって得た資金を電動化やデジタル化、自動運転技術の開発などに充当する。2030年までに配送用トラックの販売台数のうち少なくとも60%、長距離トラックでは40%をゼロ排出化することを目指す。バスについては今後5年以内に50%で電気自動車(EV)かハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)などの新たな駆動システムを採用するという。

MANは昨年9月に世界全体で従業員の4分の1に当たる最大9500人を削減する計画を発表したが、今回のドイツ国内での3500人の削減が9500人に含まれているか、あるいは削減規模を上乗せしたかについては言及していない。

2021/1/27

 

2週間無料お試し購読 購読を開始する