独ダイムラー傘下の乗用車メーカーであるメルセデス・ベンツは5日、シュツットガルト近郊のウンターテュルクハイム(Unterturkheim)工場群でリチウムイオン電池セルを製造する計画を発表した。ただし、当面は少量生産にとどめ、外部の電池メーカーからの調達を継続する方針とみられる。

ウンターテュルクハイム工場群は同社のパワートレイン生産の中枢とされているものの、今後の電動化を見据え、電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)向けの部品や各種システムの生産へのシフトを加速する。

■23年中に電池セルの生産開始

電池セルの生産は2023年中に開始する見通し。投資額や生産能力、従業員数などの詳細については言及していない。ウンターテュルクハイム工場群ではエンジンやトランスミッションなどの生産を段階的に縮小する一方、電池セルだけでなく、電池パックや電池の冷却システムなどを含めた電池システムのほかにモーター、関連ソフトウエアの研究開発(R&D)や量産化を推進する。

同工場群のヘーデルフィンゲン(Hedelfingen)工場では年内にEVの「EQS」用電池システムの生産を開始するほか、時期を明示していないものの「EQE」の電池システムの生産も予定している。同じく同工場群に属するブリュール(Bruehl)工場では2022年に別のモデルのPHV用電池システムの生産を開始するとした。

■人員削減を準備

ウンターテュルクハイム工場群は1904年に発足し、現在の従業員数は1万8000人に上る。2017年2月にはEV関連技術を開発する技術センターを設置していた。ダイムラーは昨年10月、エンジンの種類を2030年までに70%削減するほか、マニュアル・トランスミッションの生産終了、希望退職による5000人の人員削減などのコスト削減策を発表していた。

同工場群での人員削減については労働組合などとの合意に基づき、社会的に容認される方法で実施するための準備を進めるとしている。

2021/3/8

 

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