米マサチューセッツ工科大(MIT)の研究室から誕生した電池ベンチャーのSES(旧称はソリッドエナジー・システムズ、SolidEnergy Systems)は3日、重量0.982キログラム当たりの容量が107アンペア時のリチウムメタル電池を開発したと発表した。株主である米ゼネラル・モーターズ(GM)と韓国の現代自動車に対して来年中に車載向けのサンプル品を納入し、2025年中の実用化を目指す方針だ。

新型リチウムメタル電池の名称は「アポロ(Apollo)」で、エネルギー密度は1キログラム当たりで417ワット時(Wh)、1リットル当たりで935Wh。SESは100Ah超の性能を持つ世界初のリチウムメタル電池になると主張している。

■上海市で新工場を建設中

同社はまた、中国の上海市嘉定区で「シャンハイ・ギガ」と呼称する新工場の建設を進めていると発表した。床面積は30万平方フィート(2万7870平方メートル)で、電池の生産能力は年間1ギガワット時(GWh)。2023年中に完工する予定としている。

SESは2012年の設立で、米国発の企業だが、現在は本社をシンガポールに置いている。同社にはGMが2015年、現代自が今年7月にそれぞれ出資。GMの出資額は判明していないが、現代自は1億米ドルを出資したとされる。両社のほかに中国の炭酸リチウム大手、天斉リ業(リは金へんに里)も2017年12月に1250万米ドルを出資してSES株の11.72%を取得していた。



2021/11/8