生成AI(人工知能)ブームはハイテク業界を席巻し、米ネバダ州ラスベガスで開催中の世界最大のテクノロジー見本市「CES 2024」でも話題をさらうと予想されていた。だが、出品されたAI機器はそれほど注目を集めず、業界関係者は盛り上がりを見せるにはあと1年はかかるとみている。ロイター通信が伝えた。

オープンAIの対話型AI「チャットGPT」発表からまだ1年しかたっていないため、企業は機器の形にする十分な時間がなかったものとみられる。米コンサルティング企業D2Dアドバイザリーのゴールドバーグ最高経営責任者(CEO)は「まだ手探りの状態だ」とし、「(AI機器の開発には)シリコンやソフトウエアが必要だが、チャットGPTが発表されてからまだ1年しかたっていない。参入が始まったばかりだ」と語っている。

一方で投資家は大々的に宣伝された生成AI分野への何十億米ドルもの投資から経済的リターンを期待し始めており、今回のCESでのAI機器の不発は先行きの前途多難さを示すものかもしれない。

■自動車業界がAIに意欲

AIに意欲を示すセクターの一つが自動車業界だ。独フォルクスワーゲン(VW)は、チャットGPTを組み込んだ音声アシスタント技術を搭載した乗用車を早ければ今年第2四半期(4~6月)から投入すると発表した。

チャットGPTは事実に基づかない虚偽の情報を生成してしまう「幻覚(ハルシネーション)」を起こすことが知られているため、独メルセデス・ベンツは、正確を期すために回答の一部をグーグルのデータと照合するバーチャルアシスタントを発表した。

アクセンチュアのアナリストのアラム氏は、来年のCESまでには企業が開発時間を十分に確保できるため、生成AIの形態を含む多くの機器や製品が出展される可能性が高いと指摘している。

2024/01/16